『なんで、こんなに働いているんだ…』
『どうして、こんな結果になるのか…』
『変えられないから、仕方ないよ…』
構造的な問題、つまり仕組みによって問題が出ることはよくあります。
構造を変えることができれば、問題は一挙に解決します。
しかし大概は、様々な要素が複雑に絡み合っていたり、構造自体を変えることができないケースも多いかなと。
あなたの環境はどうなっていますか?
※構造化する前の状態
監査法人の構造(長時間労働に焦点を当てて)
監査法人とは、公認会計士が5人以上集まって作った会社のようなものです。
私は中小・大手合わせて10年超この会社に勤めましたが、最後まで労働時間が大きく改善された印象はありませんでした。
この原因を考えてみたいと思います。
①報酬の決め方
1つ目は報酬の決め方です。
監査法人の主な報酬は、『監査報酬』であり、監査業務(お客様である会社の財務諸表が適正かどうか保証するサービス)がメインとなります。
この監査報酬の決め方ですが、取引の結果に応じて金額が決定される『成功報酬』は認められていません。
独立した第三者の立場から財務諸表に対する意見を表明する必要がある(=独立性)ため、成果に応じて報酬が決まるとこの『独立性』が保てなくなるからです。
そのため、
『時間』×『単価』=『監査報酬』
という決め方が、構造的に決まってくるわけです。
報酬の計算に『時間』が組み込まれてくる以上、ここは増加傾向になっていくことは宿命づけられています。
残業代目当ての労働と同じような話です。
もちろん経営層は単価UPをしたり、全体として労働時間の削減に向かうような施策を出しますが、
一定の報酬を目指す以上、抜本的に労働時間を削減することは難しいと感じます。
事実、私がいた10年間は労働時間が大きく改善したことはありませんでした。
②成果の測り方があいまい
2つ目は、人事評価の観点から。
一般企業のバックオフィス関係も似たような状況かと思います。
営業職で『契約10件取った!』といった成果はなく、監査法人での『成果』は見えにくいものです。
『成果』が見えにくくなると、どうなるか?
『頑張り』で測るようになります。
『頑張り』とは『頑張った時間』です。
つまり、長時間働いた方が評価されやすい、という土壌があるのです。
私自身、評価をする際には、どうしても頑張ってくれる人の方が目に付くということはありました。
反対に、時短勤務をしているときは、強気になれない自分がいました。
このように、評価の観点からも長い時間働いてしまう環境になっているかなと。
③対応法令/基準の増加
3つ目は、対応しなければならない基準等が増え続けていること。
(些細だけど、たくさん文書を書かなければならないとか)
会計基準も増え続けていますし、改正等も止まる気配はありません。
もちろん、アップデートし続けていくことは必要です。
一方で、付随して、不必要に増える単純作業、形式的な作業の増加も多くあります。
これをしたいかどうか?
私はしたくない、と思いました。
(昔、これでお金もられるならラッキー、という先輩もいましたが。)
構造は変えられるのか?
ここまで、『監査法人×長時間労働』を題材に、その構造を少し考えてみました。
大切なのは、ここからです。
この構造を変えることができるかどうか?
選択肢を3つ考えてみます。
- 組織のトップまで上り詰めて構造を大きく変える
- 構造を受け入れて淡々と過ごす
- 組織から離れる
構造を変えるには相当の覚悟と忍耐が必要です。
それこそ人生をかけて変えていく、といった気概が必要でしょう。
(私にはそこまでの気概はないですが)
また、一番楽なのは、受け入れてしまうこと。
愚痴などはこぼれるでしょうが、頭を働かせず行動もそれほどしないのであれば、現状維持の2.が最も楽です。
そして、最後は3.の離れるです。
一生同じ組織にいる必要はなく、離れるという選択肢も現代では十分あるかなと思います。
独立とは、構造作りの始まり
3.の離れるを選択した場合、
- 転職する
- 独立する
の2つが考えられます。
転職であれば、行先のルールに従って行動する必要があります。
もちろん、同じことの繰り返しになることもあり得ます。
2.独立であれば、このようなことはありません。
不安定にはなるものの、自分で構造を作っていける利点があります。
独立は、構造造りの始まり
とも言えるでしょう。
独立前と同じような状況にならないように構造を整えたいもの。
- お客様の数を増やし過ぎない
- 時間管理を徹底する
- 値決めをしっかりする
- 営業戦略を考える
- 腕を磨き続ける
挙げればキリがありませんが、望まない構造にならないように整えていきましょう。
以上、少しでも参考になる点があれば嬉しいです。
では、また次回。
編集後記
◇日記
昨日は、早朝ラン&ブログ執筆から。
日中は会計士業の打ち合わせなどを中心に。
◇ブログネタ経緯
早朝ラン中に浮かんだネタ。
◇1日1新
こどもと郵便ポスト&セブンで印刷
◇今日の一冊
カラマーゾフの兄弟(続き)