財務分析と聞くと「ハードルが高い…」と思われるかもしれません。
今回は「儲かっているかどうか?」を判断する際の指標について整理してみます。

※家具の購入も「投資判断」の1つ
ROA・ROE・ROICの計算式
共通点は「利益÷資本」という構造です。
BS(貸借対照表)とPL(損益計算書)のいずれも使用します。
それぞれ整理してみます。
①ROA = Return On Assets =「総資産」利益率
ROAの計算式は以下のとおりです。
「経常利益※ ÷ 総資産」
※目的によって何の利益を使うかは変わる
図を使えば、以下のような関係となります。

ROA =
50 ÷ 400
=12.5%
となります。
②ROE = Return On Equity =「自己資本」利益率
次にROEです。
計算式は以下のとおりです。
「経常利益※ ÷ 自己資本」
※目的によって何の利益を使うかは変わる
図では、以下のような関係。

ROE =
50 ÷ 250
=20%
となります。
③ROIC = Return On Invested Capital = 「投下資本」利益率
最後にROICです。
計算式は少しだけ複雑になります。
「税引後営業利益 ÷ 投下資本」
厳密には少し異なりますが、
- 税引後営業利益 = 営業利益×(1-30%)
- 投下資本 ≒ 借入金+自己資本
と捉えれば十分です。
※投下資本からは、本来「事業に使わない余剰資金」は除きますが、簡便的な考えとご理解頂ければ。
図にすると、下記のようになります。

ROIC =
28 ÷ 350
=8%
となります。
何が読み取れるのか?
①ROA
ROAは、
経営全体の「資産の使い方」をざっくり知る指標
です。
- 計算式がシンプル、分かりやすい
- 会社全体を俯瞰できる
- 財務分析の入口として使いやすい
といったメリットがあります。
一方で、
- 使っていない資産も分母に入る
- 事業の強さが見えづらい
- 中小企業では低く出やすい傾向にある
といったデメリットも。
- まずは会社の傾向を知りたい
- 分かりやすく外部に説明をしたい
- 長期的な傾向を確認したい
といった場合に確認するといいでしょう。
②ROE
ROEは、
株主目線での「リターン」を測る指標
です。
- オーナーの実感に近い数値
- 資本効率を端的に示せる
- 投資家に説明がしやすい
といったメリットがあります。
一方で、
- 借入を増やせば、見かけ上は改善してしまう
- リスクが反映しづらい
- 経営判断に使いづらい
といったデメリットも。
- 株主へのリターンの評価をしたい
- 投資家・金融機関向けへの説明に使いたい
といった場合は確認してもいいでしょう。
ただし、中小企業では重視しなくてもよい指標だと思っています。
③ROIC
ROICは、
事業の実力を測るための指標
です。
- 事業の稼ぐ力が分かる
(ROAより正確に) - 借入による見かけ上の指標改善を排除できる
(ROEのデメリットを排除) - 投資判断に直結する
といったメリットがあります。
一方で、
- 計算式が複雑
- 計算式の定義がブレる可能性がある
(利益を税引後にするか?投下資本をどこまで厳密にするか?) - 短期的には指標が悪化しやすい傾向
(ROIC = 営業利益 ÷ 投下資本 ➡ まずは分母の投下資本が増える)
といったデメリットも。
- 事業の強さを知りたい
- 事業の取捨選択を進めたい
- 経営の意思決定に活用したい
といった場合に活用しましょう。
まとめと注意点
ここまでの内容を表でまとめます。
| 指標 | 主な目的・視点 | メリット | デメリット | 向いている使い道 |
|---|---|---|---|---|
| ROA (総資産利益率) | 会社全体の効率 | 🟢計算式がシンプル、分かりやすい 🟢会社全体を俯瞰できる 🟢財務分析の入口として使いやすい | ❌使っていない資産も分母に入る ❌事業の強さが見えづらい ❌中小企業では低く出やすい傾向にある | ✔️まずは会社の傾向を知りたい ✔️分かりやすく外部に説明をしたい ✔️長期的な傾向を確認したい |
| ROE (自己資本利益率) | 株主・オーナー視点 | 🟢オーナーの実感に近い数値 🟢資本効率を端的に示せる 🟢投資家に説明がしやすい | ❌借入を増やせば、見かけ上は改善してしまう ❌リスクが反映しづらい ❌経営判断に使いづらい | ✔️株主へのリターンの評価をしたい ✔️投資家・金融機関向けへの説明に使いたい |
| ROIC (投下資本利益率) | 経営・事業視点 | 🟢事業の稼ぐ力が分かる 🟢借入による見かけ上の指標改善を排除 🟢投資判断に直結 | ❌計算式が複雑 ❌計算式の定義がブレる可能性がある ❌短期的には指標が悪化しやすい傾向 | ✔️事業の強さを知りたい ✔️事業の取捨選択を進めたい ✔️経営の意思決定に活用したい |
注意したいことは、「指標を見て・分析して・確認して終わり」ではないということです。
ここで大切な問いは、
「では、どうするか?」
です。
あくまで分析は行動を改善していくための「1つのツール」に過ぎません。
過度にハマらないように、あくまで「行動」のために活用しましょう。
また財務諸表には限界も存在します。
その1つは、無形資産(人材・ブランド・判断力)は直接数値に現れないといったもの。
このような「制約=前提条件」を理解したうえで、数値を行動につなげていきましょう。
では、また次回。
編集後記
◇日記
昨日は起床後にラン5km。
その後、メルマガ・YouTube・ブログ執筆。
日中は三男と過ごしつつ、Kindle出版を一気に。
◇ブログネタ経緯
経営分析ネタを途中まで書いていたのでブログに。
◇1日1新
ラン新ルート