民間の個人年金※では、「保険料を支払う人」と「年金を受け取る人」の関係によって、
課税関係が大きく変わります。
※将来の年金を自分で準備するための任意加入の保険
特に注意したいのが、両者が異なるケースです。
例えば、「親が保険料を払って、子が年金を受け取る」など。
思わぬ形で、贈与税が発生することもあり注意が必要です。
この記事では、
- 個人年金の税金の仕組み
- よくある誤解
- シンプルな設計のすすめ
の3つに整理してお伝えします。

※息子を見ながら、贈与のことを少し考えたり。
個人年金の税金の仕組み
基本的な仕組みを見ていきましょう。
①確認すべき3つの立場
個人年金では、次の3つの立場を区別する必要があります。
税務上のポイントは、「誰が保険料を負担しているか」です。
契約名義より、お金の出どころがポイントです。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 1.保険料負担者 | 実際に保険料を払う人 |
| 2.契約者 | 保険会社との契約名義 |
| 3.年金受取人 | 将来年金を受け取る人 |
②「1.保険料負担者=3.年金受取人」の場合
例えば、以下のような場合です。
- 1.保険料負担者:本人
- 3.年金受取人:本人
これは最もシンプルなケースで、関連する税金は「所得税」です。
課税対象は、年金のうちの利益部分(受取年金 − 払込保険料)です。
年金のように毎年受け取る場合は「雑所得」になります。
※一括で受け取る場合は「一時所得」
③「1.保険料負担者 ≠ 3.年金受取人」の場合
例えば、以下のような場合です。
- 1.保険料負担者:親
- 3.年金受取人:子
この場合、税務上は「年金受給権の贈与」があったと考えます。
つまり、毎年の年金額ではなく「年金を受け取る権利そのもの」に贈与税が課されます。
また、②の場合と同様に「年金受取」に関しては、所得税がかかります。
一瞬、二重課税のように見えるかもしれませんが、
以下のように課税対象が異なるため二重ではないのです。
| 税金 | 課税対象 |
|---|---|
| 贈与税 | 年金受給権 |
| 所得税 | 年金の利益 |
よくある誤解3選
誤解①:毎年110万円以下なら贈与税はかからない
個人年金では「年金受給権を一括評価」することになります。
そのため、110万円控除で贈与税が発生しないことは稀です。
たとえば、「父が保険料900万円を払い、子が年100万円 × 10年受け取る契約」を考えてみます。
■年金の受給開始時(贈与税)
年金受給権「1,000万円弱※-110万円=890万円」
をベースに贈与税がかかります。
※予定利率や支払期間をもとに現在価値に割り引きます
■年金受取時
利益部分
「受取年金 − 保険料相当額」
「100万円-90万円=約10万円」
をベースに所得税がかかります。
※20万円未満なら確定申告は不要です
※厳密には「(1,000万円-900万円)/10年」と利益を案分して計算
※さらに厳密には、所得税計算では「贈与税の対象となった年金受給権評価額」を元本として扱うため、90万円とは少しズレます
例えば、受取総額が1,000万円で年金受給権評価額が800万円であれば、
(1,000万円−800万円)÷10年=20万円/年が所得計算のベースになります
誤解②:契約を子名義にすれば大丈夫
契約を子名義にしても、贈与税は発生するケースがあります。
冒頭に記載のとおり、税務上のポイントは「お金の出どころ=保険料の負担者」です。
税金は、実際に利益を受け取った人にかかる仕組みになっているからです。
特に保険契約は、仕組み上「契約する人、お金を払う人、受け取る人」が選択できます。
もし税金が契約名義だけで判断されると、
名義と受取人をそろえるだけで贈与税を避けられてしまいます。
そのため、「お金の出どころ」に重点を置いているのです。
誤解③:子の口座を経由すれば問題ない
親の口座→子の口座→保険会社
といった形で流れを整理することは重要です。
このように資金の流れを分けることで、
「1.保険料負担者=3.年金受取人」と整理しやすくなります。
しかし、形式だけ整えても注意したい点が1つあります。
それは「子の口座が単なる通過点になっていないか?」ということ。
「実質的に親が管理」という状態だと、子の財産とは認められない可能性があります。
税務では、「子が自由に使える財産から支払われているか?」という点が重視されます。
シンプルな設計のすすめ
ここまで見てきたように、個人年金では、
「保険料負担者と受取人を一致させる」のが最もシンプルです。
とはいえ、親から子へ資金を渡したいというケースもあるでしょう。
その場合は、保険契約を介さない方がシンプルです。
たとえば、「贈与として資金を渡す」ということが考えられます。
- 親 → 子へ現金贈与
- 子の口座に入金
- 子の口座から保険料支払
という流れです。
贈与は、年間110万円の基礎控除の範囲で行うことも可能です。
毎年、保険料を負担するよりも、切り分けて基礎控除110万円内で贈与をする。
このように、保険契約とは切り分けて贈与する方がシンプルです。
まとめ
図でまとめると、以下のようになります。

繰り返しになりますが、大切なポイントは「保険料を支払う人が誰か?」です。
なるべくシンプルな設計にしておきましょう。
では、また次回。
編集後記
◇日記
昨日はオフ。メルマガ・YouTube・ブログはいつもどおり。
日中は光が丘公園へ。じじばばにも会いに。
帰宅してから三男の昼寝横で名刺づくりも。
◇ブログネタ経緯
過去のネタ帳から。
◇1日1新
ラクスル名刺