初めてお話しするお客様から事業の内容を伺っていると、
「これって事業所得でいいんだっけ?」と考えることがあります。
この記事では、「事業所得」に該当するかどうかの判断基準をケーススタディを交えながら整理してみたいと思います。

そもそも事業所得ってなんだっけ?
所得税では、所得を10種類に分けています。
「事業所得」は、そのうちの1つです。
ざっくりですが、こんな風に分類できます。
働く・貸す所得
- 事業所得
自分で事業をして得る所得 - 給与所得
勤務先から受け取る給与や賞与 - 不動産所得
土地や建物などを貸して得る所得
資産から生まれる所得
- 利子所得
預貯金などの利子による所得 - 配当所得
株式などの配当による所得 - 譲渡所得
土地や株式などを売って得る所得 - 山林所得
山林を伐採して売った場合などの所得
その他・特別な所得
- 退職所得
退職金などによる所得 - 一時所得
懸賞金や保険の満期金などによる所得 - 雑所得
ほかの9種類に当てはまらない所得
このように所得にはいろいろありますが、
今回考えたいのは「事業所得」と「雑所得」の境目です。
なぜ、この分類が重要になるかといえば、
事業所得と雑所得では、税務上の扱いが大きく異なるからです。
たとえば、次のような違いがあります。
| 項目 | ワンポイント解説 | 事業所得 | 雑所得 |
|---|---|---|---|
| 所得の計算方法 | 基本的な所得の出し方 | 収入 − 必要経費 | 収入 − 必要経費 |
| 青色申告 | 税制上の特典を 受けられる申告方法 | ○ | × |
| 青色申告特別控除 | 所得から最大65万円を 差し引ける | ○ | × |
| 損益通算 | 赤字を給与など 他の所得から差し引ける | ○ | × |
| 赤字の繰越 | 今年の赤字を 翌年以降に持ち越せる | ○ | × |
要するに、税務上は「事業所得に該当した方が有利になるケースが多い」ということです。
※2026年8月時点。それぞれの制度には適用要件や制限があります。
青色申告特別控除は、令和9年分(2027年分)以後、一定の要件を満たす場合は最高75万円となります。
しかし、実務では「事業所得」か「雑所得」か、判断が難しいケースもあります。
具体的に3つの事例を見てみましょう。
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初回相談の詳細を見るこんなケースはどうなる?
事業所得か雑所得かを考えるとき、一律に判断できることはなかなかありません。
働き方や事業の規模、仕事の進め方、そこから得ている収入など、人それぞれですから。
ここでは、具体的な3つのケースで考えてみましょう。
①非常勤勤務+月10万円の業務委託
Aさんは、勤務先で非常勤として働いています。
勤務先から給与を受け取りながら、別の会社から業務委託の仕事も受けています。
業務委託の収入は月10万円ほど。
始めたのは今年からです。
この収入は、事業所得でしょうか。
それとも雑所得でしょうか。
「非常勤だから、業務委託のほうが本業?」
「業務委託契約だから事業所得?」
「月10万円くらいなら雑所得?」
と考えたくなるかもしれませんが、それだけで決まるものではありません。
②会社員+YouTubeで年間1,000万円超
Bさんは、会社員です。
ただ、副業でYouTubeチャンネルを運営しており、3年ほど継続。
年間の売上は1,000万円を超えています。
さらに、自分ひとりですべてをやっているわけではなく、動画制作の一部を複数人に外注しています。
本業は会社員ですから、YouTubeは「副業」。
では、副業だから「雑所得」なのでしょうか。
これだけ継続して売上があり、人に仕事を依頼しながら運営しているのであれば、単に「副業だから」という理由だけで雑所得とするのも違和感があります。
③会社を辞めて、オンライン講師を本業に
Cさんは、もともと会社員をしながらオンライン講師の仕事をしていました。
その後、会社を退職。
現在はオンライン講師をメインの仕事として、継続的にレッスンを提供しています。
年間の売上は数百万円です。
3つの中では、もっとも「事業」とイメージしやすいケースかもしれません。
では、
- 非常勤勤務+月10万円の業務委託
- 会社員+YouTubeで年間1,000万円超
- オンライン講師を本業として年間数百万円
どこからが事業所得なのでしょうか。
実は、「本業か副業か」「常勤か非常勤か」「いくら稼いでいるか」だけで、事業所得か雑所得かを決めることはできません。
だからこそ、「何を基準に判断するのか」を知っておく必要があります。
判断基準を持っておこう
基本となるのは、その活動が社会通念上「事業」といえる程度のものかどうかです。
とはいえ、「社会通念上」といわれても少し分かりづらいもの。
そこで、判断するときに見ておきたいポイントを整理してみます。
| 観点 | 事業所得と考えやすい | 雑所得と考えやすい |
|---|---|---|
| 継続性 | 継続的・反復的に収入が発生している | 単発・不定期に収入が発生している |
| 規模 | 一定の収入規模がある | 収入規模が小さい |
| 体制 | 設備・外注など、仕事としての体制がある | 空き時間などを使って個人的に行っている |
| 帳簿・書類 | 取引を記帳し、帳簿書類を保存している | 記帳や帳簿書類の保存をしていない |
| 活動の実態 | 仕事として対価を得るために継続している | 趣味の延長として行っている面が強い |
| 他の所得との関係 | 自身の収入の中で重要な割合を占めている | 他の収入と比べて小さい |
※上記は判断するときの観点をわかりやすく整理したものです。
ひとつの項目だけで事業所得・雑所得が決まるわけではなく、活動の実態を総合的に見て判断します。
こんなイメージです。
「これは事業所得です!」
と言い切ることは難しいケースもあるかもしれませんが、
上記の観点から検討し、その判断の根拠を説明できるようにしておくのがベターです。
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初回相談の詳細を見るまとめ
事業所得かどうか、曖昧なケースも多いもの。
「副業だから雑所得」「これだけ稼いだから事業所得」と、ひとつの条件だけで決めるのではなく、活動の実態を整理して考えておきたいところです。
ご自身で整理が難しい場合は、専門家に相談するのもありだと思います。
税務調査で判断がひっくり返るのは、最も避けたいところですから。
では、また次回。
編集後記
◇日記
昨日はブログのリライト、
ChatGPT×Chromeセミナーの告知などを中心に。
◇ブログネタ経緯
税金関係の記事を書こうと思い立ち。
◇1日1新
夜明けと蛍