個人事業主の場合、配偶者と一緒に事業を営むケースも多いもの。
そのときに「配偶者への給料をいくらにすればいいの…?」
と悩まれているお客様によくお会いします。
今日の記事では、その考え方を足立区の事例で考えていきたいと思います。

夫婦で個人事業をする場合に必要な手続き
2つの届出を確認する
まず確認したいのは、次の2つの届出の有無です。
- 青色事業専従者給与に関する届出書
- 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
分かりづらい名前ですが、次のようにご理解いただければOKです。
- 自分の事業を主に手伝う家族に給料を払い、その給料を経費にするときの届出
(青色事業専従者給与に関する届出書) - 給与を支払う事業であることを税務署に伝える届出
(給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書)
家族が手伝うことが開業時から決まっていれば、開業届と一緒に手続きをしておくと楽です。
提出期限
青色事業専従者給与の届出は原則3月15日まで。
年の途中で開業した場合や、新たに専従者となった場合は、その日から2か月以内です。
給与支払事務所等の開設届は、開設から1か月以内に提出します。
※2025年12月31日以前に開業した方は、開業届の提出状況によって2.が不要となる場合があります。
※2026年1月1日以後に開業した場合は、2.も別途提出します。
提出方法
届出書の作成には、
「会計ソフト会社が提供する無料ツール」を使ってみてもいいでしょう。
あとから「会計ソフトの契約をしませんか?」と連絡が来ますが、
契約しなくても大丈夫です。
上記の届出に対応していますので、使ってみていただければ。
配偶者の給与はいくらにすればいい?
まず大前提として、
いくらが正解、という金額はありません。
ただ、大事なことは、節税したいからといって金額から逆算して給与を決めないことです。
(❌「年間200万円くらい経費にしたいから、妻の給与を200万円にする」みたいな考え方)
ポイントは、
「なぜその給与にしたか?」を、きちんと説明できるようにしておくこと。
- どんな仕事をしてもらうのか?
- どれだけ働くのか?
- 同じ仕事の場合、他人ならいくら払うか?
- 事業の利益とのバランスはどうか?
こういった要素を検討して決めていきましょう。
また1つの考え方ではありますが、
足立区(東京都)の最低賃金(2026/8/28現在では、1,226円/時間)と比較検討する考え方もあります。
例えば、週5日、1日7時間、月20日であれば、
現在の最低賃金1,226円で計算すると、月171,640円。
※青色事業専従者給与に最低賃金がそのまま適用される、という意味ではありません。給与水準を考える際の参考値の1つです。
たとえば、同じ勤務条件で月50万円を支払う場合、時給換算では約3,571円です。
この金額が「仕事内容」や「責任の重さ」、「同業者の給与水準」などと比べて
妥当かどうかを考える必要があります。
(これが単純な事務作業だけだと、高いかなと個人的には思います)
給与額を考えるときの、1つの目安として比較してみるとよいです。
ちなみに、雇用契約書は、青色事業専従者給与の要件ではありません。
そのため締結は必須でないですが、
どのような仕事をどのくらいしてもらい、その対価としていくら支払うのかは整理しておきましょう。
足立区の国民健康保険料
給料と切っても切り離せないのは、国民健康保険料でしょう。
足立区で、夫婦で事業を営んでいるケースで見てみましょう。
例えば、500万円の事業所得がある場合で、配偶者への給与が年間240万円だと、
合計で60万円程度の負担となるイメージです。
(以下、円単位)

※便宜上、夫・妻それぞれの負担相当額を計算しています。実際の国民健康保険料は世帯単位で計算されます。
※令和8年度(2026年度)の足立区の国民健康保険料率を使い、前年に同じ事業所得・専従者給与があったものとして試算しています。
※夫婦とも40〜64歳・足立区の国保加入、軽減なし、青色申告特別控除の対象という前提です。
表だけだと分かりづらいので、
「配偶者への給与」を段階別に分けて負担額をグラフにしてみます。

今回の試算では、配偶者への給与が400万円あたりで国保は最小になります。
もともとの事業の利益は同じでも、国保の負担額が下がるのは、
ひとことでいえば「所得の分散効果」です。
- 配偶者側で給与所得控除を使える
- 夫婦それぞれの所得から国保の基礎控除を差し引ける
こうして、全体としての保険料の負担額は下がるのです。
だからといって、「じゃあ給与を400万円にしよう!」ということは、安易にしてはいけません。
前述のとおり、勤務の実態に合わせた給与の設定が必要です。
配偶者への給与を実態に比べて高く設定すると、
税務調査で過大部分が経費として認められない可能性があります。
その場合、所得税や住民税だけでなく、
所得をもとに計算される国民健康保険料も後から変更される可能性も。
なお、国民年金については、国民健康保険とは違い、基本的に所得によって保険料が変わるものではありません。
2026年度は月額17,920円(年額215,040円)です。
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まとめ|配偶者の給与に「正解」はない
いくらが正解、という金額はなく悩ましい論点ではあります。
しかし、事前にしっかりと「実態の整理」と「設定した金額の理由」を整理すれば、
過度に恐れる必要もありません。
この記事のポイントを押さえて、設定してみていただければと思います。
では、また次回。
編集後記
◇日記
昨日は三男が保育園お休みのため、午前中はオフ。
児童館と水遊びを少し。午後はお昼寝の横でがっつり仕事。
◇ブログネタ経緯
ネタ帳から。
◇1日1新
\お金も時間も自由になる/よくばり仕事術セミナー申込