前提変われば、答えも変わる|AIの税務判断が正しいとは限らない

AIに税務のことを聞くことは、かなり便利になりました。

私も、調べごとのとっかかりとして使うことがあります。

ただ、

前提が変わると、答えも変わる

ということには気を付けたいもの。

その前提がAIに伝わっていなければ、
重要な情報であっても、考慮されないまま回答が作られます。

大雨の日という前提だと見える景色が変わる。
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AIは「書かれていない前提」までは考慮できない

AIに質問すると、それらしい回答が返ってきます。

人間もそうですが、
AIも「伝えられていないこと」は、考慮することができません。

そういえば、会計士として新人の頃、
前提を読み間違えて、誤った結論を出して、上司に叱られたこともありました…。

「事実確認が甘い!」と。


いま思い返しても、このセリフは、
会計や税務を検討するうえでの金言だと(私が勝手に)思っています。

事実が先にあり、その事実を会計や税務のルールに当てはめて判断するからです。

判断に必要な事実が抜けると、人間もAIも正しい判断ができなくなります。
※どういった形になるかは「同じ質問でも、前提が変われば答えは変わる」で事例を載せています

本人が「抜けている前提」に気づいていないこともある

AIへの伝え漏れもありますが、より難しいのは、
自分自身が「伝えるべき前提が抜けていること」に気づいていないケースです。

簡単な例で言えば、

「建物を買ったのですが、毎年の減価償却費はいくらになりますか?」

という質問だけでも、確認したいことはいくつもあります。

  • 建物の構造は何か?
  • 何に使う建物なのか?
  • 新品か中古か?
  • 取得日はいつか?
  • 事業に使い始めた日はいつか?
  • いくらで買ったのか?
  • 土地と建物の金額は分かれているか?
  • すべて事業に使うのか?

といった具合です。


「AIに『漏れている前提は何か?』と聞けばいいのでは?」と思われる方もいるかもしれません。

もちろん、それは有効です。
ただ、限界もあるかなと。

AIが挙げられるのは、その時点で与えられた情報から想定できる確認事項だからです。

また、本人が事実関係を誤解していたり、重要だと思わず書いていない事情まで、
AIが必ず見つけられるわけではありません。

同じ質問でも、前提が変われば答えは変わる

以下、3つの例で見てみます。


具体例①:建物の購入

「建物を1,200万円で買いました。
毎年の減価償却費はいくらですか?」
前提が変わると……
木造・事務所用
1年間使用
結論 約50.4万円/年
耐用年数24年、定額法の償却率0.042で計算します。
鉄筋コンクリート造・事務所用
1年間使用
結論 24万円/年
耐用年数50年、定額法の償却率0.020で計算します。
木造・事務所用
7月から使用
結論 初年度は約25.2万円
1年分ではなく、事業に使った6か月分で計算します。

※説明を単純化するため、建物部分の取得価額を1,200万円、新品として例示しています。


具体例②:家族への給与

「家族に仕事を手伝ってもらい、
月10万円を払いました。経費になりますか?」
事業形態や家族との関係によって……
個人事業・青色申告
生計を一にする妻が事業に専従し、届出済み
結論 必要経費にできる可能性あり
青色事業専従者給与の要件を満たし、 届出の範囲内で実際に支払った適正な金額であれば、 必要経費にできます。
個人事業・青色申告
生計を一にする妻が、ときどき仕事を手伝う
結論 原則、必要経費にできない
生計を一にする親族への給与は原則として必要経費になりません。 青色事業専従者給与として扱うには、 事業に専ら従事することなど一定の要件があります。
法人
妻が従業員として実際に働き、適正な給与を支給
結論 原則、給与として損金にできる
法人から家族である従業員へ支払う給与は、 実際に勤務しており、仕事内容などに照らして適正な金額であれば、 原則として損金にできます。

※実際の判断では、生計を一にしているか、勤務実態、仕事内容、支払額、 青色事業専従者給与の届出の有無、法人では役員に該当するかなども確認する必要があります。


具体例③:役員報酬を変えたい

「役員報酬を月30万円にしています。
途中で金額を変えても大丈夫ですか?」
変える時期・理由によって……
期首から3か月以内の
通常の改定
 30万円 → 40万円
結論 原則、変更前後とも損金にできる
通常の改定時期に変更し、その後も毎月同額を支給するなど、 定期同額給与の要件を満たせば損金にできます。
期の途中で業績が好調になったため増額
 30万円 → 40万円
結論 増額部分は原則、損金にできない
「思ったより利益が出そうだから増やす」といった理由では、 期中の増額は原則として定期同額給与の要件を満たしません。
職務の重大な変更/経営状況の著しい悪化などで改定
 30万円 → 40万円 or 20万円
結論 損金にできる可能性あり
社長就任などによる職務内容の重大な変更や、 経営状況の著しい悪化など一定の事情があれば、 期の途中の改定でも認められることがあります。

※一時的な資金繰りの都合や、単に業績目標に届かなかったことだけでは、 原則として「業績悪化改定事由」には該当しません。 実際の判断では、変更時期・変更理由・決議内容などを確認する必要があります。


このように、同じように見える質問でも、前提が少し違うだけで結論は変わります。

まとめ

AIが身近になっても、専門家の「チェック・判断」には価値があると考えています。

ひとことで言えば、

「ご自身では気づきにくい前提を、第三者の視点から確認できる」

ということです。

AIを過信しすぎず活用し、
必要に応じて、最後は専門家に依頼するのも1つの選択肢です。

では、また次回。

編集後記

◇日記
 昨日は、ボディワークショップに参加し、その後ランニング7.5km。
 8月決算のお客様の対応を少し進め、夕方はセミナーに参加。

◇ブログネタ経緯
 ネタ帳のメモから。

◇1日1新
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