損益計算書(PL)とお金(CF)は、基本的にズレます。
利益が出ているのに、お金がない。
この違和感の正体が、ここにあります。
現金主義といって、PL=CFのように処理していればずれませんが、
会計ルールに照らして妥当と言えるケースは限定的です。
簡単な事例も交えて、その仕組みを理解しておきましょう。

PLとCFがズレる理由
ひとことで言えば、
PLは「事実の発生」を表現しているからです。
「お金の動き」も事実の一部ですが、
PLは「発生した事実」を、CFは「お金の動き」を切り出して見ています。

CFは「お金の動き」を見るもの。
PLは「事実の動き」を見るもの。
見る対象が違うので、当然両者の数値は異なることになります。
※厳密には「PLが動かないお金の動き」もありますが、上記の理解でも差し支えはありません
具体例で理解する
では簡単な事例を用いて、
両者を比較しながら見てみましょう。
①売上の発生
1年目にサービス提供を行い、2年目に入金があるとします。
金額は100万円です。
その場合、下表のようになります。
●がPL⇔CFのズレです。

売上高が計上されるのは、「サービス提供」を行った1年目です。
入金のタイミングではありません。
よくあるのは「請求書の発行」や「入金」に合わせて売上計上を行うケースです。
サービス提供と同月内で請求書の発行や入金がある場合は、
結果的に同じ処理になることもありますが、厳密には異なります。
クラウド会計ソフトの仕様で、
請求書発行のタイミングで売上計上が行われるケースも多いですが、
年度末の仕訳には特に留意が必要です。
(その年度で計上が必要なのに、翌年度へ反映されることがあるからです)
②経費の計上
98,000円のPCを1年目に購入し、2年目に支払いを行うケースを考えてみます。
1年目に受け取り、使い始めていると仮定します
その場合、下表のようになります。
●がPL⇔CFのズレです。

経費は「サービス提供を受けたとき」に計上します。
支払いのタイミングではありません。
クラウド会計ソフトとクレジットカードを自動連係などをしておくと、
自動的に発生ベースで処理されることが多いです。
ただし、期末付近で購入はしたけど、届いていないor使い始めていないケースでは、
経費に計上することはできません。
なぜなら、まだサービスの提供を受けていないからです。
節税のために期末付近に買ったけど届かなかった、といったものには注意が必要です。
③減価償却費
減価償却については、以下の記事でも触れています。
ざっくりのポイントは
- 買った固定資産は、将来にわたって費用として認識する
- お金は最初に出る
- 費用は後から発生する
です。
PLとCFのズレとなる最たる例です。
たとえば、1年目の終わりに100万円の固定資産を購入したとします。
その耐用年数は4年とした場合、下表のようになります。
●がPL⇔CFのズレです。

3つの事例に共通すること
いずれの例からも、
「PLとCFにズレが生じること」が視覚的にもご理解いただけたのではないでしょうか。
短期的にはズレが生じますが、
長期的にはPLとCFのズレは収束していきます。
PLは発生主義といって、事実の発生にもとづき数値が表現されますが、
最終的にはお金の動きに還元されていくからです。
実際、上記の数値例も複数年を合算してもらうと、
PLとCFの収支が一致することにお気づきになるかと思います。
こう活かす
ここまでの内容を別の角度から言えば、
PLには、「お金の動きを伴わない損益」が含まれている
ということです。
つまり、PLから「お金の動きを伴わない損益」を調整すれば、CFが確認できると言えます。
CF計算書を作るのは非常に煩雑ですし、テクニカル面も多いためおすすめしていません。
(それよりも資金繰り表を作る方が優先です)
それでも簡便的にCFの動きを知りたい、というときは
「税引後利益+減価償却費」で、「実際のお金に近い動き」をざっくり確認できます。
この式が意味するところは、「お金の動きを伴わない損益=減価償却費」の調整です。
シンプルに減価償却費100だけ生じている状況を考えてみるとスッキリします。

簡便的な算定のほかFCF(フリーキャッシュフロー)の考え方などもありますが、
少しだけ高度になりますので、これはまた別の機会に。
以上、PLとCFのズレの理由についてお伝えしました。
何か参考になる点があれば嬉しいです。
編集後記
◇日記
昨日は早朝の習慣(メルマガ・YouTube・ブログ)から。
午前中は車の点検へトヨタへ。
午後はメール相談メニューの整理など。
◇ブログネタ経緯
会計ネタを書こうと思い。
◇1日1新
トヨタ1か月点検